コーディネーション能力とは
コーディネーション能力を一言で言えば運動神経、運動能力のことです。
coordinationは調整、協力、連携などの意味があり、運動において複数のタスクを同時に行うようなスポーツ、
例えば、球技なら、ボールを操りながら、敵の位置、味方の位置を素早く把握し、先を予測しながら、正確にパスを出す、パスを受ける。
これだけのことを同時に処理をするには、コーディネーション能力の開発は欠かせないわけです。
また、競技において、正確さ、精度を求められるようなバレエ、ダンス、空手、フェンシング、などもコーディネーション能力です。
全てのスポーツはコーディネーション能力というベースがあってこそと言うわけです。
コーディネーション能力の獲得は一般的に12歳までと言われており、
生化学的に神経発達、ホルモン、内分泌系の発達の曲線は10歳頃までに勢いよく右肩上がりの伸びますが、
12歳頃には曲線は緩やかになり発達がほとんど完了することが根拠となっています。
中学生以降から未経験のスポーツをはじめた時、適応するまでに時間がかかる、すぐできてしまうなどの個人差は
コーディネーション能力の差といえます。
あくまでコーディネーション能力は、経験によって獲得するものであり、
もともと備わっている身体的優位性、アドバンテージ(身長が高い、関節が柔らかい)とは区別する必要があります。
厚労省も、こどものうちはいろんなスポーツ・遊びに触れることを推奨しており、
遊びをたくさんしてる子達は運動能力が高いことが統計でわかっています。
ちなみに小さい頃から特定の競技に特化すると能力特化型になります。
それが吉と出るかは、競技によるため、わかりません。
コーディネーション能力図と解説
1リズム能力
リズムをとる、タイミングを取る、合わせるなどの感覚。
息を合わせる、音楽にのるといったダンス競技ではとりわけ必要な能力になります。
日本人はリズム感がないとよく言われますよね。。
黒人音楽は奴隷時代の辛い労働環境から生まれ発展した生活に根付いた音楽です。
日本の伝統芸は日本舞踊、能、歌舞伎、雅楽、、、日本特有のモタっとしたリズムで
拍子、テンポの良いものはほとんどありません。穏やかな農耕生活だから??
昨今はダンスが必須項目になったり、音楽が身近なものになってきており、
ダンス競技の世界で日本人は大活躍しています。やっぱり環境次第なんでしょうね。
2バランス能力
体勢を崩さない、すぐ立て直す重心感覚といえます。
体勢を崩さないためには、長友選手のような強い体幹が必要と思われがちですが、
体幹の強さとは実はバランス感覚なのです。
二足歩行の人間は平行を失うとバランスが崩れます。
体勢がくずれても、目線が平行ならバランスは失いません。
これは水平感覚、平衡感覚といって、見逃しがちな感覚です。
リンクを高速で回る、自転車競技、motoGPなどのオートバイ競技、陸上のコーナーなどでも一流選手は目線が水平を保っています。
また、押す力、押し返す力といった、イメージしやすいフィジカルの強さは、
もちろん筋力の強さも関係しますが、出力のタイミングが悪ければ、どんなに強い筋力でも役には立ちません。
身体操作の視点では、
抜重、膝抜き、など外力をうまく使う身体操作で筋力に頼らない体幹の強さを発揮できます。
3変換能力
臨機応変で、俊敏な切り返し、動きの切り替えが素早くスムーズに感覚です。
コンタクトスポーツ、球技などの動く方向が一定でないスポーツ、
スピードの緩急、ストップアンドダッシュ、方向転換などにあたります。
体操、ダンスなども変換の連続ですね。
スムースな重心移動ができるようになるには、多様な遊び、運動経験、
サッカー、バスケ、バレー、ラグビーなどの球技でも身につきます。
陸上、水泳といった単調な運動ではあまり使われないかもしれません。
4反応能力
反射的に動く、俊敏に対応するなどの能力で、
動体視力、音に反応する、コンタクトスポーツでの臨機応変な対処、
ケガからの回避などが挙げられます。
特に動体視力については、
バスケットボールのマイケルジョーダンが引退後、メジャーリーグに挑戦したことは有名ですが、
バスケットボールより小さいボールに対処できなかったのは動体視力が原因です。
テレビのバラエティ番組で時々取り上げれますが卓球選手の動体視力はエグすぎですね。
最近はビジョントレーニングなどで動体視力の開発などが注目されています。
画像のスクショ元
https://visionup.jp/vision_training_basic
5連結能力
連結とは、昨今注目されている、身体の運動連鎖、身体の連動性などのことで、
スムースな重心移動、上半身下半身の連動が上手なスポーツ選手は
しなやかで、力みがなく、体全体が一体となって運動が成立しています。
一見すごそうに見えないけど優秀な選手、
流れるようなきれいなフォームで走るなどもこの連結能力が高いといえます。
変換能力も近い能力ですね。
動きが硬い、力みを感じるフォームなどは
おそらく、この連結能力の向上が鍵になります。
6定位能力
距離感覚の精度、自分の位置、相手の位置を正確に予測する能力です。
球を扱う競技、スポーツに必要不可欠な能力です。
野球での捕球の位置取り、味方に正確に送球する、サッカーで正確にパスをする、
距離感覚と力の加減で正確にボールを投げる、蹴る能力も含めた能力といえます。
7識別能力
道具を器用に扱う、道具に自分の体を適応させる能力です。
球技のボールコントロールはもちろん、剣道、フェンシング、スケートボード、スケート靴、新体操のリボン、ビリヤード、ダーツ
たくさんありますね。
競技に特化して身につく能力ですが、感覚的に近いツール、異なるスポーツでもフォームが似ているなど
も引き出しとして役に立つことが多いです。
スピードスケートの選手が、夏のトレーニングで競輪をするなどもそうですね。
まとめ(注意してほしいこと)
小さい頃の多様な運動経験に無駄なことは一切ありません。
一つのスポーツに専念させるケースがとても多いですが、
練習のオフでは、まったく違うスポーツをすることで補えます。
異なるスポーツをすることはアクティブレスト(積極的休養)といわれ、
体の疲労した部位は休め、あまり使われていない部位を活性化させることで
身体全体としての能力の底上げができ、推奨されています。
シリアスに取り組んでいる場合、心のリフレッシュにもなりますね。
ただし、良かれで親が押し付けてやらせるのは逆効果です。
本人がやりたい、主体的に取り組めることを選んで、欲張らずに。
子供が楽しく体を動かして、結果として運動神経が発達していれば良いでしょう。
また、注意が必要なのは
能力向上を運動量で獲得することです。
筋肉、関節、骨などの未発達なこどもに過度な運動は絶対にさせないことです。
特に走り込みなどは足腰への負担が大きいため、疲労がたまらないように注意が必要です。
発育発達の観点から心肺機能、筋持久力などは中学生ころからで十分です。
小学生までに取り組むのは筋肉を発達させることではなく、運動神経を磨くこと。
長い目で見守りながらのびのびと楽しく!!